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ミントカラー(短編小説)

   ミントカラー(短編小説)

 

 

 僕の名はミント、でも普通の犬と違って、僕の色はミントグリーン。僕の色は、どちらかというと必要ない方の色になる。だけど、やりたいこともたくさんあるし、生きていきたいと思っている。少し特技もあって、人の言葉を理解できるし、人と話せる。

 今までの飼い主さんも子供のころから面倒見てくれていて、良い人だったけれど、会社が倒産してしまった。それで、僕のミントグリーンの色と人の言葉を話せる能力で、僕を高値で売ろうとしようとした。僕は、残るか迷ったが、どうしても怖くて、飼い主の家から逃げてしまった。でも、僕の色は目立つ。直ぐに、わかってしまうのではと、怖かった。   

夜は、ごみ箱に隠れて、寒さをしのいだ。

そしたら朝になって、普通は子供が立ち入らないところなのだけど、子供の言い争う声がした。というよりも、一方的にちょっかいを出されて、バックを投げられたりしていた。そのままにしても良かったのだけれど、何か自分と被るところがあって、助けることにした。

 

「お前ら何をしている。警察が来ているぞ。」とごみ箱の中からミントは言った。ミントは小学生相手に効くかなと思ったが、悪いことをしているという意識はあるらしくて、さっそうと、苛めっ子達は、逃げていった。

虐められていた小学生は助かり、当たりを見渡したが誰もいなくて、リュックを拾い帰ろうとした。

そしたら、ミントが、

「逃げるな。僕に恩返しをしろ。」

虐められていた小学生は、びっくりしたように、

「どこにいるんですか?」と聞いた。

ミントは、自分のミントグリーンの色と犬なのに喋れることをどう思われるか一瞬怖かった。だけど、このまま逃げても、他の誰かに売りに出されるのが落ちだとわかっていたので、この虐められていた小学生に賭ける事にした。

「ここだ。」とごみ箱からミントが出てきた。

「この恩に、雨を凌げる部屋に、二回の食事に、三時のおやつを用意しろ。」

ついつい、上から目線で、言ってしまった。

小学生は、犬が出てきたことに驚いて、

「何で、犬なのに喋っているの?」

ゴミ箱に寝ていたので、汚れていたのか、ミントグリーンの体の事は、何も言われなかった。

ミントは、ここで素直にならないと、一生檻に入れられて、見世物にされる生活になる可能性があると思い。話の分かりそうな小学生に今までの、経緯を話すことにした。

小学生は、まだ話を呑み込めなかったけれど、自分のことをいじめっ子から助けてくれたし、このままほっとくこともできず。家に連れて帰ることにした。